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【知っとく!】遺産分割の3つの方法

遺産分割の方法

 

遺産分割には、3つの方法があります。

  1. 指定分割
  2. 協議分割
  3. 家庭裁判所による審判による分割

 

順にご説明してゆきます。

 

1.指定分割

  • 遺言による指定

被相続人は、遺言で分割の方法を定めることができます(民法908条)。

例えば、妻に住み慣れた土地建物と、預貯金の1/2を、長男と次男には預貯金の残りを頭割りで相続せよ、と、遺言書で記す場合です。

また、被相続人は、分割の方法を定めることを第三者に委託することもできます(同908条)。

この場合に第三者が出来るのは、分割方法の定めることだけで、特に、相続分の指定を委託され事が認められなければ、相続分の指定の変更をすることは出来ません(同902条)。

 

  • 「相続させる遺言」

最判平成3年4月19日民集45巻4号477頁

特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」という遺言は、遺言書の記載から、その趣旨が遺贈であると解すべき特段の事情のない限り、当該遺産を当該相続人に単独で相続させる遺産分割の方法が指定されたとみる

とされています。

また、ここで重要な事は、相続分を超える部分について第三者に自己の権利を主張するには、登記・登録その他の対抗要件を備えなければなりません(同899条の2第1項)。

 

2.協議分割

遺言が遺されていない場合、または遺言による指定が無い場合には、分割は共同相続人の協議で行われます。

遺産分割協議の成立要件には、次の二つの条件を満たさなければなりません。

  1. 協議には、全共同相続人が参加すること
  2. 全員の同意があること

上記のabには、次のような問題点があります。

 

お腹の中にいる胎児はどうなるのか?

胎児は、相続に関しては、すでに生まれたものとみなされます(同866条)。

例えば、お腹の中に胎児がいる状態で、胎児の父親が亡くなった場合を想定してみましょう。

その場合、胎児は生まれたものとみなされるので、法定相続人は、妻であるお母さんと子である胎児になります。

しかし、民法では、胎児を代理して分割に参加すべき法定代理人を設けることができるかが、明らかではありません。

母親と子供(胎児)は、遺産分割に関しては、必ずしも利害が一致するとは限りません。

その場合には、母親は子供の法定代理人ではあるけれども、胎児には、胎児の利益を代理する特別代理人を定めなければならない、という事になります。

ですので、胎児が相続人となった場合には、胎児が出生して特別代理人が選定されるまで待つ方が良い、と考えられています。

 

3.家庭裁判所による審判による分割

共同相続人の協議が調わないとき、または参加できない者があって協議をすることが出来ないときは、共同相続人は1人で、または共同してその分割を家庭裁判所に請求することができます(同907条第2項)。

 

  1. 手続きに関しては、家事事件手続法第191条以下に規定されています。

申立人は、共同相続人、利害関係人を示し、かつ遺産の目録を差し出されなければならない(家事事件手続法第191条)

家庭裁判所は、遺産を換価し(同194条)、または給付命令を出すことができます(同196条)。

 

b.家庭裁判所は、まず事件を調停にかけ、調停が成立しなければ審判によって分割をします(調停前置主義)。

 

c.一切の事情を考慮して、遺産の全部、または一部を当分の間分割しない方が良いと考えた時は、期間を定めてその分割を禁じることもできます(民法907条3項)。

この禁止期間は、5年を超えることは出来ないと考えられています(遺産の分割禁止の制限:民法908条)。

例えば、共同相続人全員が幼い場合や、遺産のうちの工場や農地についてだけ、分割しない方が良い、と考えられるような場合がこれにあたります。

禁止期間中であっても、事情の変更が認められて、相続人が申立てた場合には、分割禁止の審判を取り消し、または変更することができます。

 

d.禁止期間が過ぎれば、共同相続人は改めて分割の協議をし、協議が調わなければさらに家庭裁判所に請求することになります。

 

利害関係人の参加

遺産分割には、利害関係人が参加できます(民法260条の1項、家事200条)。

参加の請求を拒否して分割を行った場合には、その分割は参加を請求した者に対抗できないものとなります(260条の2項)。

 

 

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