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7.62021
尊厳死宣言のすすめ
尊厳死の定義
尊厳死とは、回復の見込みのない末期状態の患者に対して、生命維持治療を差し控え、又は中止し、人間としての尊厳を保たせつつ、死を迎えさせることを言います。
以前は助からなかった状態でも、現代の医療では助かる事が多くなりました。
けれど、生命は維持出来ても、人間らしい生活の質(QOL)を保てなくなった場合、ご本人もご家族もとても苦しい思いをすることがあります。
また、ご家族は、延命措置に関しての判断を迫られることがあり、ご自身の判断で、大切な家族の命を終わらせて良いのか、大変苦しい決断を迫られる場合もあります。
医師の側も、ご本人の意思が明確でない状況で、延命措置を積極的にしなかった場合に、刑事責任・民事責任を負う可能性が出てきます。
このような場合に、ご自身の最後のあり方を、尊厳死宣言公正証書として示しておくと、大切なご家族に、苦しい決断を迫ることを避けることができます。
また、ご自身にとっても、尊厳あるあり方を選択できることになります。
尊厳死宣言が認められるには
尊厳死宣言が認められるには以下の状況であることが必要です。
- 医学的に見て、不治の状況にあること
- 死期が迫っていること
- 延命治療が死期を引き延ばすのみであること
尊厳死宣言公正証書の種類
尊厳死宣言公正証書は、事実実験公正証書になります。
事実実験公正証書とは、公証人が、自らが五感の作用により直接体験した私権に関する事実について公正証書を作成すること(公証人法35条)をいいます。
公証人は、尊厳死宣言という、命に関わる意思表明の真意を確認しつつ、公正証書作成を行います。
尊厳死宣言公正証書の内容
尊厳死宣言公正証書に盛り込む事が出来る内容は、以下のようになります。
1.尊厳死宣言の定義にあてはまること
- 医学的に見て、不治の状況にあること
- 死期が迫っていること
- 延命治療が死期を引き延ばすのみであること
2.苦痛を和らげる措置を施した結果、死期が早まってもそれを受容すること。
3.家族が尊厳死を了承していること、また、医師に家族からもその旨を伝えること
4.医師に対して、尊厳死の希望を要望していること
5.尊厳死宣言をするに至った動機
6.精神が健全な状態にあるときに、尊厳死宣言公正証書を作成したこと
誰もが尊厳ある死を迎えるために
私事ですが、筆者自身、家族が意識の無い状況に陥った事がありました。
その時に、家族が何を希望しているのか迷い、悩み、苦しい思いをしました。
自分の判断が間違っていたら。そう思うと眠れない日々が続きました。
結果的に家族は回復し、この時の事を話題にすると、自分が「これが家族の希望なのかな」と考えていた事と本人の希望が、全く違った事が多々あり、たいへん驚きました。
今の時代、どれだけ長い人生となるかは、誰にも予測できません。
だからこそ、ご自身の人生の終焉をどのように迎えるのか、ご家族と話し合う機会を設けることも大切だと実感しています。
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