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法定成年後見制度

法定後見制度とは?

 

未成年者が法律行為をするときには、法定代理人の同意が必要とされています。

これは、まだ未熟な未成年者を守るための制度です。

また、取消権や追認権(事後的な同意)も制度として認められています。

 

同様に、判断能力が不十分な大人を守る制度が、法定後見制度です。

法定後見制度として、次3類型に分けられています。

  1. 成年後見制度 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者
  2. 保佐(ほさ) 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な者
  3. 補助(ほじょ)精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な者

 

ここで「事理を弁識する能力」とは、自分のした行為とその結果を理解する能力、のことです。1→3に従って、この能力が高い事が分かります。

では、各制度について、順にご説明してゆきます。

 

成年後見制度

成年後見人をつけてもらう為には、家庭裁判所による審判が必要になります(民法7条8条)。

 

成年後見人に認められている権利は、

  1. 代理権(859条1項)
  2. 取消権(9条本文・120条1項)
  3. 追認権(122条)

があります。

成年被後見人に事前に同意を与えて単独で行為をさせることは望ましくないため、同意権は与えられていません。

しかし、日常生活に必要な範囲の行為については、自己決定権の尊重と言う観点から、取消しの対象から除外されています(9条ただし書き)

 

保佐

保佐人をつけてもらう時は、成年後見と同様に、家庭裁判所の審判が必要になります。

保佐人に認められている権利は、

  1. 限られた法律行為の同意権
  2. 追認権(122条)
  3. 取消権(13条4項・120条1項)
  4. 代理権(家庭裁判所の審判があった場合:876条の4第1項)

同意権が決められた範囲に限られているのは、被保佐人は成年被後見人とは異なり、単独で有効な法律行為をなしえますが、特にこの場合には本人の保護を要するからです。

保佐人の同意を要する行為等)

第十三条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。

 元本を領収し、又は利用すること。

 借財又は保証をすること。

 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。

 訴訟行為をすること。

 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。

 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。

 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。

 新築、改築、増築又は大修繕をすること。

 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。

 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。

 家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。

 保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。

 保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。

 

出典:e-Gov(https://www.e-gov.go.jp)

 

補助

補助人をつけてもらう為には、上記2人の場合と同様に、家庭裁判所の審判が必要となります。

ただし、上記2人との大きな違いは、補助人をつけてもらう際、本人以外の者の請求により、補助開始の審判をするには、本人の同意がなければなりません(15条2項)。

これは、本人の自己決定権を尊重するためです。

 

補助人の権限をどこまでにするかは、申立者の申し立てに基づいて、家庭裁判所が定めます(17条・876条の9)

 

まとめ

このように、法定後見制度は、成年後見・保佐・補助の3類型があります。

それぞれ、本人の能力によって、どの制度をあてはめるかが決まってきます。

 

当事務所へのお問い合わせは、こちらから承ります。

 

 

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