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遺言書と異なる遺産分割

遺言書と異なる遺産分割

 

相続人全員が、遺言書があることを知りながら、遺言書と異なる遺産分割をすることはできるのでしょうか?

 

遺言書は、被相続人の最後の意思表示であるとともに、後のもめごとを予防するためのものです。

その趣旨からみると、原則は有効な遺言書があるならば、それに従うこととなります。

けれども、相続の現場では、遺言書があることを相続人全員が知りながら、遺言書と異なる遺産分割協議をしても、有効となる場合があります。

それは、遺言執行者がいるかないかによって変わってきます。

では、遺言執行者がいる場合といない場合とで、見てゆきましょう。

 

【遺言執行者がいない場合】

遺言執行者とは、遺言者に代わり、遺言の効力発生後、その内容実現に向けて必要な事務一切を行う者、を言います。(参照:遺言執行者とは?)

遺言書のなかに遺言執行者が指定されていない場合、また、遺言執行者を選任すべき相続でない場合には、相続人全員の同意があれば、遺言書と異なる遺産分割協議を行った場合でも、その協議は有効です。

この場合、受遺者がいる場合には、遺贈を受ける者(受遺者)も協議に参加しなければなりません。

当該遺産分割で、利害関係のある者全員の同意が必要となります。

 

【遺言執行者がいる場合】

遺言執行者がいる場合にはどうなるのでしょうか。

遺言執行者は、遺産について管理権を持ちます。(民法1012条)

ですので、遺言執行者がいる場合には、遺言執行者の同意のもと、遺言書と異なる遺産分割を行った場合には、その遺産分割は有効となります。

では、遺言執行者はいるけれども、相続人全員が希望する遺産分割に、遺言執行者が同意しなかった場合はどうなるのでしょうか?

この場合にも、遺言書と異なる遺産分割協議は有効であると、裁判所は示しています(大阪地裁判決:平成6.11.7)。

ただし、気をつけなければならないことは、税の計算が変わってくる可能性があることです。

税に関しては、法律で定められた行政書士の業務の範囲外のこととなりますので、ここでは割愛いたします。

 

遺言書と異なる遺産分割のまとめ

結論を申しますと、遺言執行者がいてもいなくても相続人全員(遺贈者も含む)の合意のもとでなされた遺言書と異なる遺産分割協議は、実務上有効となる場合が多いです。

のちのもめごとを避けるため、相続人全員が納得するような遺言書を準備することをお勧めいたします。

 

当事務所では、遺言書の作成サポートを承っております。

お問い合わせはこちらからお願いいたします。

 

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