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【失敗しない!】公正証書遺言の証人になれる人なれない人

証人には誰でもなることができるの?

通常の状況で、遺言書を作成するには、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類の作成の仕方がありました。

公証役場が関わる遺言書である、公正証書遺言の利用は、令和2年度で9万7700件、対して、秘密証書遺言書の作成件数は、年間100件程度と言われています。

利用件数が多い、公正証書遺言の作成の流れについて見てみましょう。

  1. 遺言書の案の作成
  2. 公証役場と事前の打ち合わせ
  3. 必要書類の入手
  4. 作成日を予約し、公証役場で遺言書の作成

上記のうち、4の段階で証人2名が必要になります。

遺言書の作成サポートを、弁護士、司法書士、行政書士に頼む場合には、2名のうち1名は、サポートをした士業の方がなることが多いです。

では、残りの1名の証人には、どのような人がなることができるのでしょうか?

 

証人になれない人

証人になれない人については、法律で定められています(民法第974条)。

  1. 未成年者
  2. 推定相続人
  3. 受遺者
  4. 推定相続人・受遺者の配偶者や直系血族
  5. 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記、使用人
未成年者

未成年者は、判断能力が十分でないとの理由で、証人や立会人になることができません。

しかし、未成者でも婚姻をしている場合には、成人とみなされます(成年擬制:民法第753条))。

ですので、婚姻している未成年者は証人になることができると考えられます。

 

推定相続人、受遺者、これらの配偶者、直系尊血族

上記の人は相続が始まると、相続についての利害を生じることになります。

そのような人が遺言書の作成の際に関わっているとなると、遺言書の内容について「自分に有利な取り計らいをしたのでは」と、のちのあらそいごと発展する恐れがあります。

ですので、これらの人は、遺言書の作成に関わるのは適当ではないことから、証人から除かれています。

 

公証人の配偶者、4親等内の親族、書記、及び使用人

これらの人も、遺言書の作成に関わると、のちの争いごとに発展する恐れがあることから、証人となることはできません。

この趣旨から考えると、自身の担当ではない遺言書の作成に関しては、不正や遺言者の意思を抑圧する恐れがないことから、証人となることが可能です。

 

証人になれない人が証人になってしまったら?

証人になれない人が証人になってしまい、遺言書が作成された場合には、遺言書自体が無効になってしまう可能性があります。

公正証書遺言の証人になれない人が、遺言書の作成に同席していた場合の判例として、最高裁平成13年3月27日判決があります(出典:判例タイムズ1058-105)

 

遺言公正証書の作成に当たり、民法所定の証人が立ち会っている以上、たまたま当該遺言書の証人となることができない者が同席していたとしても、この者によって遺言の内容が左右されたり、遺言者が自己の真意に基づいて遺言をすることを妨げられたりするなど特段の事情のない限り、当該遺言公正証書の作成手続きを違法ということはできず、同遺言が無効となるものではないと解するのが相当である。

この事件は、証人になることができる人が、証人として立ち会っている状況でありながら、証人になれない人が公証役場に同行していたことで、遺言書の有効性が争われた事件です。

証人になれる人が証人となっていたにも拘わらず、証人になれない人が同席していただけで、このように争いが生じています。

遺言書は、その効力が生ずるのが、亡くなった後であり、本意思を確認することができないこと、また、大きな財産が動くことから、適切な要件を満たさないと、のちのあらそいごとの原因になる恐れがあります。

 

知っとく!

公正証書遺言書を作成する場合、遺言書の証人2名が必要であること、また、証人になれない人がいることについてご説明しました。

専門家に遺言書作成のサポートを頼む場合、証人になってくれる人に心当たりがなければ、手配することが可能です。

 

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