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10.112021
遺言書保管制度を活用しよう!
自筆証書遺言の落とし穴
自筆証書遺言は、思い立ったらすぐに作成でき、費用も掛からないというメリットがあります。
その反面、偽造や紛失のおそれがあり、また、大切にしまい込み過ぎて相続人に見つけてもらえないといったデメリットがあります。
そのデメリットを補う形で、2020年7月10日、自筆証書遺言であっても遺言書保管所に、遺言書の原本の保管を依頼することが出来る法律が施行されました。
この制度を利用することにより、かつては必要であった家庭裁判所による遺言書の「検認」が不要になりました。
「検認」が不要になったことで、速やかに遺言の執行に入ってゆくことができるようになります。
またあらかじめ手続きをしておくと、遺言をした人が亡くなったときに、決めておいた人に死亡通知が届くようになりました。
このように、自筆証書遺言の保管制度はかつてのデメリットを払拭し、遺言執行を速やかにしていくメリットがあります。
公正証書遺言との違いは?
では、公正証書遺言との違いはどこにあるのでしょうか?
公正証書遺言は、法律のプロである公証人がご本人様から内容を聞き取って作成します。
つまり「内容が法律にあっているかどうか」も公証人によって精査され、法律に適合しない遺言書を作成することは出来ません。
有効な遺言書を作成し後の紛争を予防することができる、これが公正証書遺言の一番のメリットです。
これに対して、自筆証書遺言はご本人さまご自身で作成することから、全文・日付・署名など、要式や内容を正しく書くことが出来るかどうかが、有効な遺言書となるかどうかの分かれ目になってきます。
また、遺言書保管制度を利用するにあたり、遺言書保管所に自筆証書遺言の「内容の相談」をお願いすることはできません。
ですので、自筆証書遺言を作成する際は、内容や形式が法律に適合しているかを専門家にサポートしてもらい、確認してもらうと安心です。
そのうえで遺言書保管書に保管をお願いすることをお勧めします。
遺言書の作成を後押しする制度
自筆証書遺言の保管制度は、自筆証書遺言の方式で遺言を残した場合のデメリットを払拭し、遺言作成を後押しする制度だといえます。
公正証書遺言も、自筆証書遺言も、それぞれにメリットとデメリットがあり、ご本人さまの現在の状況によってもどちらの方式をとる方がいいのか、変わってくるものと思います。