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9.252021
遺産分割の話し合いをするときの心構え【もめない遺産分割】
久しぶりに家族と会ったのが遺産分割の話し合いの場だったら
父親が急に亡くなった。
いつかは、と覚悟はしていたけれどこんなに早く別れが来るなんて。
僕は他府県で就職・結婚し、実家にはあまり帰っていなかった。
2つ年下の妹が、両親と近居して何かと世話をしてくれていたから、安心しきっていたのもある。
四十九日も済んで、父親の財産分けをしなければならないらしい。
相続税には支払の期限があるらしいから。
父親名義の土地と建物は、妹夫婦と同居して、母親が住み続けたいらしい。
僕の子どもは来年中学生だ。
これから受験やなんやとお金が掛かる。
正直、少しでも残してくれていたものを分けて貰えると、ありがたいな。
法律で決まっている相続人は、母親と僕と妹。
どういう風に財産分けをするんだろう?
「長男だから、あなたが全部もらったら?」
なんて嫁がうるさいけど、本当にそんなこと出来るのかな?
~・~・~・~
こんな風に、遺産分割の場で久々に顔を合わせるご家族は少なくありません。
相続人が少ないから、もめごとが起らないかというと、そうではありません。
もめごとは、相続人の数に関わらず、また相続財産の多寡に関わらず、起きるときは起きてしまいます。
どのような心構えで遺産分割協議に臨めばいいのか?
先のお話の「僕」は、嫁から「長男だから全部もらったら?」とせっつかれています。
法律では、遺言書が無い場合、法定相続人の相続分は決められています。
配偶者が1/2、子どもが1/2です。
亡くなった人には子どもが2人いますので、子どもの相続分は頭割りとなり、それぞれが1/4となります。
また、法律で最低限認められている相続財産である遺留分は、相続分の1/2になるので、母親が1/4、子ども2人がそれぞれ1/8の遺留分を持つことになります。
ですので「僕」の嫁が言うように「長男だから全部もらう」法律上の根拠はありません。
遺産分割でもめる原因の一つに、しばしば相続人でない家族が口を出す、という事があります。
ほんのわずかな金額であっても、もめるときはもめます。
また法律上、兄弟姉妹の間で相続に優劣はありません。
兄だから、姉だから多く貰うという論法は、相続の場では通りません。
遺産分割の際に心がけること
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生前、亡くなった人のお世話をしたり、同居したりしていた家族に配慮すること
亡くなった人の介護をしていたという事のみでは、寄与分が認められることは少ないかも知れません。
けれど、その介護や世話があったおかげで、家庭生活を穏やかに過ごす事ができたことに、感謝の気持ちが必要です。
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今まで親に援助(贈与)してもらっていた事などに配慮すること
例えば、兄弟の内一人だけ、私立の学費を出して貰っていた場合などや、留学の費用を出して貰っていた場合などには、そうでない兄弟姉妹に配慮が必要です。
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残された他の相続人の生活の安定を考える
この家族では、母親が住み慣れた家に妹夫婦と同居したい、と希望しています。
ここで住み慣れた家を換価し、分けて欲しいと「僕」が言い出すと、母親は老後の生活を新たな場所で始めなければなりません。
ここでも、配慮が必要になります。
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母親が亡くなった後も考える
母親が亡くなると、今度は「僕」と妹が母親の相続をしなければなりません。
今は自宅を妹に譲り、相続登記をしても、母親の相続の時に母親の生命保険の受取人になっておくなど、先の対策もできます。
遺産分割協議では、自重や譲り合いが必要です。
一方的な遺産分けには納得出来ないのは当然ですが、譲り合い、先の事も視野に入れながら、亡くなった人も納得するだろう遺産分割をする必要があります。
それでも話がまとまらない場合には
残念ながら、それでも話がまとまらず、遺産分割協議が進まない場合には、弁護士に依頼して、家庭裁判所で遺産分割の調停をする場合もあります。
調停でも話がまとまらない場合には、審判が行われます。
このような制度を利用することも出来る、ということを視野に入れながら、円満な遺産分割ができたらいいですね。