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【知っとく!】内縁の妻(夫)が、相続財産の分与を請求できる場合

相続人ではない者の、相続財産の分与の請求

 

相続人が不存在の場合、最終的には、相続財産は国庫に帰属します(民法959条)。

その前に、被相続人と一定の関係があった人に、相続財産の分与の請求をする権利が認められています(同954条)。

この、一定の関係にあった人のことを「特別縁故者」と言います。

 

以前、「特別寄与者」(同1050条)について、ご説明しました。

(参照:「特別の寄与」)

 

特別縁故者と特別の寄与の制度は、言葉も似ていて、分かりづらいかと思います。

この二つの制度の共通点は、相続人以外の者が相続財産の分与を請求できるところです。

そして、この二つの制度の違いは、次のことにあります。

  • 特別縁故者は、相続人がいない場合に限り、認められます。
  • 特別の寄与の制度は、被相続人の親族(民法上の親族とは、六親等内の血族、配偶者、三親等内の 姻族)に認められる制度です。

 

このように、二つの制度は、その名宛人が誰であるかで、大きな違いがあります。

 

特別縁故者となる要件

特別縁故者となる要件は、法律上定められています。

(特別縁故者に対する相続財産の分与)

第九百五十八条の三 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

 前項の請求は、第九百五十八条の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。

出典:e-Govポータル

 

特別縁故者に該当する要件は、

  1. 被相続人と生計を同じくしていた者であること
  2. 被相続人の療養看護に努めた者
  3. その他被相続人と特別の縁故があった者           です。

そして、該当する場合、相続人捜索の公告の期間が満了後、三ヶ月以内に家庭裁判所に請求することが必要です。

請求せずに、自然に財産分与がなされる訳ではありません。

 

特別縁故者に該たるかどうかは、裁判所の判断による

 

特別縁故者の制度は、被相続人の財産を国庫に帰する前に、相続人にあたらなくても、非相続人と生前近しい関係を持っていた人に、限定的に相続させることを認めた制度です。

ですので、特別縁故者に該たるか、また、どれくらいの財産を与えるかは、個別具体的に認定されることになります。

 

  1. 被相続人と生計を同じくしていた者とは、
  • 事実上、夫婦として生活していた者
  • 事実上、養子として生活していた者
  • 亡くなった息子(娘)の配偶者

などが該当する場合があります。

 

  1. 被相続人の療養看護に努めた者とは、

報酬なく、看護や介護をした場合や、報酬を受け取っていても、報酬以上に看護や介護をしたと認められる者をいいます。

また、自然人に限らず、法人が療養看護を認められる場合もあります。

 

  1. その他被相続人と特別の縁故があった者とは、判例から、
  • 口約束で財産を譲ることを伝えられていた者で、療養に努めた者
  • 親戚であっても、相続人に当たらない者が、被相続人の自宅を修理したりと世話をしてきた者

などが該当しています。

 

知っとく!

このように、特別縁故者の制度は、被相続人と縁があった人に対し特別に財産を分与する請求を認めた制度です。

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