ブログ

納得いかない遺言書!無効にできる?

納得いかない!

遺言書は見つかったけれどその内容に納得が出来ない場合、遺言書を無効にすることができるのでしょうか?

例えば、相続人のひとりだけに遺産を譲るような内容の場合や、愛人との関係を維持するために、相続人である家族の生活がおびやかされることになっても、遺産を全て愛人に残すと遺言している場合です。

ここでは、自筆証書遺言が無効になる場合と、公正証書遺言が無効になる場合をご説明します。

自筆証書遺言が無効になる場合
  • 自書されていない
  • 日付・押印がなされていない
  • 複数人で共同で書かれている
  • 修正・加筆がルールに則りなされていない
  • 内容がはっきりしない
  • 相続人がはっきりしない
  • 社会のルールに反するような内容
  • 本人の意思で書かれていない
公正証書遺言が無効になる場合
  • 作成当時、認知症が疑われる状況だった
  • 本人の意思に反して作成された
  • 証人の適格性がない
  • 社会のルールに反するような内容

 

どうしたら無効にできるの?

上記のような場合には、まず家庭裁判所に調停を申立てます。

それでも解決できなかった場合には、「遺言書無効確認の訴え」を地方裁判所、または金額によっては簡易裁判所に提起します。

 

では、調停や裁判によらず、相続人で遺言書に従わずに遺言書と異なる遺産分割はできるのでしょうか?

それは遺言執行者がいるかないかによって変わってきます。

遺言執行者がいない場合

遺言執行者とは、遺言者に代わり、遺言の効力発生後、その内容実現に向けて必要な事務一切を行う者を言います。

遺言書のなかに遺言執行者が指定されていない場合、また遺言執行者を選任すべき相続でない場合には、相続人全員の同意があれば、遺言書と異なる遺産分割協議を行った場合でも、その協議は有効です。

この場合、受遺者がいる場合には、受遺者も協議に参加しなければなりません。

当該遺産分割で利害関係のある者全員の同意が必要となります。

 

遺言執行者がいる場合

遺言執行者は前述のとおり遺産について管理権を持ちます。(民法1012条)

ですので、遺言執行者がいる場合には、遺言執行者の同意のもとで遺言書と異なる遺産分割を行った場合には、その遺産分割は有効となります。

 

では、遺言執行者はいるけれども、相続人全員が希望する遺産分割に、遺言執行者が同意しなかった場合がはどうなるのでしょうか?

この場合にも、遺言書と異なる遺産分割協議は有効であると、裁判所は示しています(大阪地裁判決:平成6.11.7)。

 

このように、遺言執行者がいてもいなくても相続人全員(遺贈者も含む)の合意のもとでなされた遺言書とことなる遺産分割協議は、実務上有効となる場合が多いです。

 

関連記事

ページ上部へ戻る