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検認の手続きに必要な書類

遺言書が見つかった

 

母の死後、1ヶ月半が過ぎた。

四十九日の法要が終わり、気持ちが少し落ち着いてきている。

後回しになっていた母の家の整理をしていたら、机の引出しから遺言書が見つかった。

封筒の裏書きには、

「この遺言書を開封してはいけません。検認が必要です」

と母の字で書いてあり印鑑が押されている。

私は検認(けんにん)が何かは分からなかったけど、母の強い文字から、開けてはいけないことは伝わってきた。

「ねえ、こんなものがあったんだけど」

ガレージで庭仕事用の道具を片付けてくれていた夫に、封筒を見せる。

夫は封筒の表書きと裏書きをじっくりと見てから、しみじみと言った。

「お義母さんらしいね、きっちりと遺言書を残していてくれたんだ」

それから夫は私に、家庭裁判所に遺言書を持って行き、「検認」の手続きが必要であること、それには母の戸籍謄本のほか、相続人全員の戸籍謄本も必要なことを話してくれた。

 

お母さんはどんなことを遺言書に書いたんだろう?

また気持ちが揺さぶられ、胸が熱くなる。

どんなことが書いてあっても、お母さんとまた話せる。

そんな気持ちがして、また涙が出てきた。

~・~・~・~・~

検認はどうして必要なの?

遺言の保管者が居ない場合において、相続人が遺言書を発見した場合、遅滞なく家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければなりません(民法1004条)。

封印のある遺言書は勝手に開封してはならず、違反者には過料の制裁があります(民法1005条)。

なお、過料には処せられますが、この場合にも遺言の効力に影響はありません。

 

検認手続きは、遺言書の隠匿・棄損を予防する制度です。

検認によって、自筆証書遺言が適法に作成されたものであるか、という遺言書の有効性を確定するものではありません。

しかし、検認の時点でその後の偽造変造を防止し、その時点での遺言書の状態を保存することになります。

また、検認の通知が相続人になされるので、相続人が遺言書があったことを知らないままに遺言が執行される事を防ぐことが出来ます。

 

遺言書の検認に必要な書類

遺言書の検認に必要な書類は、以下のものです。

  • 遺言書
  • 亡くなった人の出生から死亡までの戸除籍謄本
  • 相続人全員の戸除籍謄本
  • 亡くなった人にすでに死亡している子どもがいる場合、その子の出生時から死亡時までのすべての戸除籍謄本

相続人が複数いて複雑な相続の場合には、必要書類については、管轄の家庭裁判所に確認することをお勧めします。

 

手続きの流れと期間

  1. 検認申立書の作成
  2. 家庭裁判所への検認申立て
  3. 期日の決定
  4. 法定相続人への検認期日の通知
  5. 検認期日当日検認済み証の申請

検認手続きの費用として、遺言書1通につき800円の手数料が必要です。

また、検認済み証の申請に、150円の手数料が必要です。

検認の申立てから、検認済み証の発行まで、約1ヶ月の期間が掛かります。

 

当事務所では遺言書の作成サポートを承っております。

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