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8.262021
【準備OK!】遺言書の内容を秘密にしておきたい場合
遺言書の内容を秘密にしたい
遺言書の書き方は、民法に定められています。
そして、定められた方式を取らない遺言書は、無効となります(民法960条)。
このように、厳しい要式を求められる理由は、遺言をする人に対して慎重さを求めると同時に真意を明確にし、のちのもめごとを避けるためです。
以前ご説明したように特別の事情があって、通常の遺言をすることが出来ない場合には、特別方式の遺言によります。
(参照:「特別な状況での遺言」)
しかし、通常の場合には、遺言は、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類のうちどれかを選択してすることになります。
今回は、普通方式の遺言の一つである、秘密証書遺言について、ご説明します。
秘密証書遺言は、遺言の内容を自分の生前は秘密にしておきたい場合に用います。
内容は秘密にしておきたいけれど、遺言書の存在は相続人に知ってもらわなければ、遺言をした人の意思は実現されません。
秘密証書遺言は、次のような方式で、作成されます。
秘密証書遺言の方式
- 遺言者が、遺言書を作り、その証書に署名し、押印します。
これはワープロで作成してもよく、自筆である必要はありません。
ただし、のちに付け加えたり、変更、訂正する場合には、自筆証書遺言と同じ方式によらなければ、効力を生じません(民法970条・同968条)。
- 遺言者がその証書に封をし、証書に用いた印章を押印して、封印します。
- 遺言者が、公証人1人、及び証人2人以上の前に封書を提出して、それが自分の遺言書である旨と、遺言者の氏名・住所を申述します。
- 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載したあと、遺言者・証人・公証人がこれに署名・捺印します。
秘密証書遺言として認められなくても、自筆証書遺言として認められる可能性あり!
秘密証書遺言は、上記のような方式によらなければ効力を生じません。
しかし、秘密証書遺言が自筆証書遺言としての方式を備えていれば、自筆証書遺言として効力を認められる可能性があります(民法971条)。
普通要式の遺言である、自筆証書・公正証書・秘密証書の遺言は、それぞれ長所と短所があります。
自筆証書遺言の最大の短所は、厳しい要式を満たすことができるか、そして満たしても保管が適切で、発見してもらえるか、という点にあります。
公正証書遺言は、公証役場で公証人の立ち会いのもと作成されるので、要式は満たすことができ、また、毀損や改ざんの恐れもありません。
ただ、内容を読み聞かせるので、内容を秘密にしておくことはできません。
この中間に位置するとされているのが、秘密証書遺言です。
内容を秘密にしておくことができ、なおかつ遺言書の存在を明らかにしておくことも可能です。
準備OK!
自筆証書遺言の短所を払拭するために、自筆証書遺言の保管制度が新設されました。
(参照:「自筆証書遺言の保管制度」「自筆証書遺言の保管制度を利用するときの手続きは?」)
遺言書を作成したいと考えた時、どの制度を利用するか。
「秘密にしたい」というご希望が大きい場合には、秘密証書遺言のご検討をおすすめします。
当事務所では、遺言書作成サポートを承っております。
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