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8.272021
【知っとく!】遺言書とエンディングノートはどうちがうの?
エンディングノートは、遺言書の代わりになる?
終活という言葉を良く聞くようになりました。
そして、終活には、遺言書を準備することが大切だということも、知られるようになってきています。
書店では、多種多様なエンディングノートが用意されています。
エンディングノートには、銀行口座や、終末期医療の希望や、お世話になった方に残す言葉を書く欄も整えられ、それを見た人には、財産の存在や、ご本人の希望などが、すぐに分かるようになっています。
では、このようなエンディングノートは、遺言書として認められるのでしょうか?
以前、ご説明したように、遺言書には厳しい要式性が求められています。
(参照:「遺言書の書き方 自筆証書遺言」)
このような厳しい要式性が遺言書に求められる趣旨は、遺言書が効力を発揮するのが遺言者の死亡後であるためです(民法985条1項)。
遺言者の死亡後は、遺言者の真意を確認することができません。
厳しい要式性を求めることで、遺言者に慎重に遺言書を書くことを促し、真意をはっきりとさせることができます。
遺言者の最期の意思を尊重するため、方式に反する遺言書は、無効とされています。
また、遺言書に書くことにより、法的効力がある事項は、法律で定められています。
これを法定遺言事項といいます。
〔相続に関すること〕
- 推定相続人の廃除(民法893条)
- 推定相続人の廃除の取消し(同894条)
- 祖先の祭祀主催者の指定(同897条1項)
- 相続分の指定、指定の第三者への委託(同902条1項)
- 特別受益分の控除の免除(持ち戻しの免除)(同903条3項)
- 遺産分割の方法の指定・指定の第三者への委託(同908条)
- 遺産分割の一定期間の禁止(同908条)
- 遺言による担保責任の定め(同914条、911条~913条)
〔遺産の処分に関すること〕
- 遺産の処分(同964条)
- 相続財産に属しない権利の遺贈についての別段の意思表示(同977条1項2項ただし書き、966条ただし書き)
- 財団法人設立のための寄付行為(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律152条1項、2項、3項)
- 遺産の運用の信託(信託法3条2号)
- 生命保険金及び傷害疾病定額保険金の受取人を変更すること(保険法44条1項、73条1項)
〔身分に関すること〕
- 非嫡出子の認知(民法781条2項)
- 未成年後見人の指定・未成年後見監督人の指定(同839条、848条)
〔遺言執行に関すること〕
- 遺言執行者の指定・又はその指定を第三者に委託すること(同1006条1項)
遺言書に上記のことを記載することで、法的効力をもたせることができます。
エンディングノートに記載することは、法的効力はなく、遺言書の代わりにすることはできません。
エンディングノートは、遺言書を補充する
では、遺言書を書けばエンディングノートは必要が無いのでしょうか?
エンディングノートは、法的拘束力はありませんが、遺言書を補充する役割があると考えます。
遺言書と異なり、エンディングノートでは、生前の希望を記すことができます。
また、家族や生前お世話になった方への感謝のメッセージも残すことができ、残された人の慰めになります。
相続財産や身分についてのことより、周りの方への感謝の気持ちや、言葉を残したいかたも多いと思います。
もちろん、遺言書の付言事項として残すこともできますが、より自由に、ご自身の気持ちを書き記すことが出来るのは、エンディングノートだと思います。
知っとく!
エンディングノートは、遺言書の代わりにはなりませんが、両方があることによって、より周りの人に最後の希望や感謝の気持ちが伝わることになります。
当事務所では、遺言書の作成サポートを承っております。
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