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7.222021
【知っとく!】どんな財産を譲り受ける事ができるの?
何を相続できるの?
遺産と言えば、預貯金や、不動産、株式や金などが浮かぶことが多いと思います。
けれど「これは相続できるのかな?」「これも相続しちゃうの?」と迷うものもあるかと思います。
民法896条には、
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
とあります。
出典:e-Govポータル(https://www.e-gov.go.jp)
原則→被相続人の財産に属した権利・義務を承継する
原則として、相続人は、被相続人の財産に属した一切の権利・義務を承継します(896条本文)。
承継されるものとして、
- 占有権
- 保証債務や連帯債務
- 生命侵害による損害賠償請求権や慰謝料請求権
- 被相続人が負担していた売主としての義務(560条以下)
- 申し込みを受けた者の地位(承諾をなしうる地位)
- 被相続人が悪意であったことから生ずる効果(96条3項)
などがあります。
例外→一身に専属したものは承継されない
一身専属権とは、当事者だけが享有できる権利や負担すべき義務のことを言い、その個人だけにしか帰属することが出来ない権利義務のことを言います。
例えば、有名な画家が絵を描く債務や、歌手がステージで歌う債務、などがこれに当たります。
そういった権利義務は、被相続人だけがなしうるものなので、相続人には継承されないこととなっています(民法896条ただし書き)。
具体的にご説明してゆきます。
1.当事者の個人的信頼を基礎とする法律関係
- 代理関係の本人または代理人の地位(653条1号)
- 身元保証人の地位
- 限度額・及び期間の定めのない継続的保証債務の債務者の地位
- 使用貸借の借主の使用・収益権 など
2.行使するか否かを被相続人の意思により決まる権利
精神的損害に対する慰謝料請求権
*被相続人が生存中に損害賠償を請求する意思を表示した場合に初めて相続の対象となる
3.債務の性質上、被相続人がするのでなければ目的を達成出来ない債務
- 芸術作品の制作・供給の債務
- 雇用契約上の労働者としての地位(625条)
- 扶養請求権
- 配偶居住権
4.被相続人が共同体の一員として保持していた一定の身分関係に付随する権利
村落の一定の資格をもった構成員であることに伴う入会権など
祭祀に関する権利の承継
被相続人に属した一切の権利・義務を承継するということが原則でした。
そして、例外的に、上記のような「一身専属権」については、承継しませんでした。
同じく承継しない権利・義務であり、そもそも相続財産に入らないものとして、系譜・祭具・墳墓の所有権があります。
これらは、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継することとされています(民法897条)。
ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継します。
これは、我が国が「家」制度を採ってきたことによるものです。
知っとく!
以上のように、相続により承継されるものされないものがあります。
そして、その判断に迷うものも多いです。
当事務所では、相続に関するご相談を承っております。