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7.122021
【知っとく!】相続人になれない場合
相続権を失う場合
法定相続人ではあるのに、相続権を喪失する場合2種類を、民法は規定しています。このような場合にも相続権を認めたのでは、健全な国民感情に反するからです。
- 相続欠格(民法891条)
- 相続廃除( 同892条)
順にご説明してゆきます。
相続欠格(そうぞくけっかく)とは
相続欠格として定められた要件に該当する者は、当然に相続資格を失います。
- 故意に被相続人、先順位、同順位にある相続人を殺害したか、または殺害しようとして、刑に処せられた者(民法891条1号)。
- 殺人罪、同未遂罪、同予備罪などに問われた者であるが、執行猶予になり、猶予期間が無事経過した者はこれに該当しない。
- 被相続人が殺害されたことを知っているのに告発も刑事告訴もしなかった者。ただし、その者に健常な判断能力がなかったり、殺害者が自分の配偶者や直系血族であれば、これをかばうのは人情であるとの趣旨で、これらの者は除かれる(同2号)。
- 詐欺や強迫によって、被相続人が遺言するのを妨げたり、取り消すことや変更することを妨げた者(同3号)。
- 詐欺・強迫によって、被相続人に遺言させたり、取り消させたり変更させたりした者(同4号)。
- 被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者(同5号)。
上記の者は、当然に相続権を失います。注意しなければならないのは、この効果は、被相続人との間でのみ生じるものです。
ですので、別の人の相続人になることは出来ます。
また、欠格者の子や孫にも影響はなく、代襲相続は出来ることになります。
相続廃除(そうぞくはいじょ)とは
相続廃除とは、遺留分を有する推定相続人が、被相続人に対して虐待をしたり、若しくは重大な侮辱を加えたり、著しい非行があって、被相続人がこの者に相続させたくないと思うときは、家庭裁判所に申出るか、遺言をすることにより、この推定相続人を相続から廃除してもらうことが出来ます(民法893条)。
家庭裁判所に申出たときは、家庭裁判所の審判の確定により、相続権を失います。
この効果は、相続欠格と同様、被相続人との間でのみ生じるものです。
ですので、別の人の相続人になることは出来ます。
また、廃除者の子や孫にも影響はなく、代襲相続は出来ることになります。
被相続人は、廃除の取消しをいつでも家庭裁判所に請求することができます(民法894条)。
知っとく!ポイント
ブログ「相続人に借金がある場合」では、相続人が自ら相続したくない意思を表明することが出来ることをご説明しました。
今回の相続廃除・相続欠格は、国民感情から、「こんな場合にまで相続させるのは納得できない!」と思われる典型的な場合に、相続権を喪失させる規定です。
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