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被相続人に借金があった場合

被相続人が借金を残していた場合

 

例えば、被相続人が2,000万円の不動産を残して亡くなったけれど、3,000万円の借金が合った場合、プラスの財産よりマイナスの財産が1,000万円多いことになります。

このような場合に、相続人が相続を単純に承認するとどうなるのでしょう。

 

相続人は被相続人の権利義務を承継することになる(民法920条)ので、1,000万円の借金の返済義務も承継することになります。

つまり、被相続人の借金を返済しなければなりません。

これは、相続人に対して重い義務を課すことになり、相続人にとって酷だと言えます。

 

限定承認と相続放棄

上記のような場合に相続人を守るため、民法には、下記の二つの制度があります。

限定承認(民法922条以下)

相続によって得た財産の限度においてのみ、被相続人の債務を弁済することができるという制度です。

 

相続放棄(民法938条以下)

その相続に関して、初めから相続人とならなかったものとされる制度です。

 

限定承認と相続放棄の具体的方法

では、相続の承認・限定承認・放棄をするときは、いつまでにどのような方法を採ればよいのでしょうか?

第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

出典:e-Govポータル(https://www.e-gov.go.jp)

 

この、3ヶ月の期間を「熟慮期間」と言います。

熟慮期間内に限定承認または放棄をしなかったときは、単純承認されたものとみなされます。また、限定承認は共同相続人全員が共同してしなければなりません(民法923条)。

相続の放棄は、熟慮期間内に、その旨を家庭裁判所に申述しなければなりません。

 

今回のケースはどうなるの?

それでは、今回のケースでは、それぞれの場合どうなるのでしょう?

単純承認をした場合

単純承認をした場合には、被相続人の権利義務で相続されるものは、全て承継します。

よって、2,000万円の不動産も、3,000万円の借金も共に相続し、相続人間で共有されることになります。

もし、相続人が一人ならば、一人で全体として1,000の負債を承継することになります。

 

限定承認をした場合

限定承認をすると、相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務を承継することになります。

今回の場合、相続人が一人だと、プラスの財産である2,000万円の限度においてのみ、借金の返済義務を負います。

 

相続放棄をした場合

相続放棄をすると、最初から相続人で無かったことになります(民法939条)。

ですので、プラスの財産も承継せず、マイナスの財産も承継しません。

 

以上のように、相続人は被相続人の財産の中にマイナスの財産が無いか、そしてその額の大きさを考えて承認・限定承認・放棄の手続きを採る必要があります。

 

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