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【知っとく!】危難に遭遇して、死亡が分からない場合には?

戸籍法で死亡とする制度(認定死亡)

 

死亡したことは確実であるけれど、ご遺体を確認することができない場合に、戸籍上死亡として取り扱う制度として、認定死亡の制度があります(戸籍法89条・91条・15条)

水難や火災、その他の天変地異や事変によって死亡したことが確実なときには、その取調をした官庁または公署は、死亡地の市町村長に、死亡の報告をしなければなりません。

 

死亡の順番が分からない場合(同時死亡の推定)

数人の人が同一の危難にあった死亡した場合には、死亡時の前後が分からないことが多いです。

相続の場面では、どの順番でお亡くなりになったかで、相続が変わってきます。

そこで、同じ危難に遭遇して、その死亡の前後が分からない場合には、同時に死亡したと推定するのが、同時死亡の推定(民法32条の2)です。

 

同時に死亡したと推定される者の間では、相続は発生しません。

また、遺贈の効力も、生じません。

しかし、代襲相続に関しては、発生の原因となります。

つまり、相続開始時に、すでに死亡していた場合と同じ扱いになるのです。

 

推定する、とみなすの違い

前回、失踪宣告では、死亡と「みなさ」れ、反証を許さないとご説明しました。

(参照:「失踪宣告による死亡」)

しかし、同時死亡の推定の場合、死亡の前後が確定できれば、同時死亡の推定は覆り、相続の順序に変更が出る可能性があります。

同時死亡の推定が覆り、相続の順序の変更があると、遺産分割のやり直しをすることになります。

 

もしも、どこかで生きていたら?

最期に、死亡したとみなされたり、推定された人が、どこかで生きていたら、その人はどうなるのでしょうか?

私法関係の主体となる地位である権利能力は、出生と同時に当然取得し、死亡によって消滅します。

死亡以外の消滅原因はありません。

よって、例えばどこかで生存していて、物の売り買いをすれば、その場においては権利能力者として売買は有効に成立します。

のちに住んでいた場所に帰ってきて、法律行為をすれば、例え失踪宣告がなされ、その取消前であっても、新しい法律関係では権利能力を有する者として扱われることになります。

 

知っとく!

認定死亡と、同時死亡の推定についてご説明しました。

どちらも、生死または、生死の順番が分からない場合に、当事者の財産や法的安定を図る制度です。

 

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