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8.132021
【知っとく!】相続対策としての生命保険
相続に生命保険を活用する方法
ご自身亡きあと、のこされたご家族が相続でもめないようにするために、生命保険を活用できることがあります。
生命保険には、3人の登場人物がいます。
保険の契約者・被保険者・受取人、です。
そして、保険の契約者・被保険者が被相続人である場合、死亡保険金は受取人固有の財産となり、相続財産にはなりません。
税法上は?
これに対し、保険の契約者・被保険者が同一人物の場合、相続税法上は、死亡保険金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。
- 「みなし相続財産」とは、被相続人の財産ではないにもかかわらず、相続税の計算上相続財産の課税対象となる財産のことをいいます。
生命保険の死亡保険金のほか、死亡退職金や、被相続人が死亡する3年前までの間に贈与した財産などが、みなし相続財産となります。
- 死亡保険金の受取人が相続人である場合、「死亡保険金の非課税限度額」までが非課税となり、限度枠を超えた部分に課税されます。
死亡保険金の非課税限度枠は、「500万円×法定相続人の数」です。
もし、相続人が妻と子供2人である場合は、
500万円×3人=1,500万円までが非課税となります。
この、非課税限度枠は、相続人以外の人が取得した死亡保険金には適用されないことに、注意が必要です。
生命保険を活用するメリット
預貯金などの現金は、原則として遺産分割協議が終わるまでは払戻しができません。
しかし、葬儀費用や、納税の資金、代償分割の為の資金など、相続が始まると現金が必要な場面が多く発生します。
その際、受取人固有の財産として、死亡保険金を受け取ることができると、上記のような用途に活用することができます。
例えば、相続財産の大半が不動産を占め、分割することを望まない場合を想定してみましょう。
そのような場合には、一人の相続人が不動産を相続し、他の者との間で、譲り受ける財産に不公平が生じることがあります。
そして、遺留分を侵害している場合には、遺留分を請求されると、不動産を売却し、換価して他の相続人に支払わなければならず、結局、大切な不動産を手放さなければならないことになります。
このような場合に、生命保険を活用することができます。
不動産を相続する相続人を遺言で指定し、他の相続人には生命保険で相続分を確保しておきます。
こうすることにより、円満な遺産分割が可能になります。
このケースの場合には、不動産を相続する指定を受けていた相続人が、保険の受取人にも指定されていると、死亡保険金を代償分割の資金として利用することもできます。
生命保険を活用する際に、気をつけること
相続対策として生命保険を利用するメリットをお話してきましたが、気をつけなければならないこともあります。
- 生命保険の保険料が継続的に必要です。
生命保険は月払・年払・一時払などの払い込み方法がありますが、どの方法をとっても継続的な保険料の負担が必要です。
高額な死亡保険金を準備するなら、その分保険料負担も大きくなります。
- 被相続人に加入の条件があります。
生命保険は契約時に、被保険者の年利、病歴、健康状態を告知する必要があります。
よって、状況によっては、加入できないこともありますし、保険料が割高になることもあります。
- 保険会社が破綻する恐れがあります。
保険会社が破綻すると、救済保険会社、または承継保険会社に、契約が引き継がれます。
保険契約は継続可能ですが、破綻した生命保険会社が準備している「責任準備金」が9割程度までの補償に削減される場合があります。
よって、契約者が支払った保険料総額より、少なくなる場合があります。
- インフレリスクがある
生命保険の場合、保険料の払込期間が長期になることが多いです。
ですので、契約時の保険金額が、相続発生時にどれくらいの価値になっているかが、分かりません。インフレにより、受け取る死亡保険金が、実質上、目減りする可能性もあります。
知っとく!
相続対策として、生命保険を活用することができる、ということについてお話してきました。
それぞれの状況に合わせた相続対策を、ご検討することをお勧めします。