遺言書の取扱い
例えば、親が亡くなって、自宅の机の引き出しの中から自筆証書遺言が出てきた場合、どうすれば良いのでしょうか?
今回は、自筆証書遺言が自宅などで見つかった場合の、遺言書の取扱いについてご説明してゆきます。
遺言書の検認(けんにん)
封をしていたら開けないで
お亡くなりになった人の自筆証書遺言が、自宅の机の中、もしくはお仏壇の中から見つかった、というケースがあります。
遺言の保管者が居ない場合において、相続人が遺言書を発見した場合、遅滞なく家庭裁判所に提出してその検認を請求しなければなりません(民法1004条)。
特に気をつけていただきたいのが、遺言書に封印がしてある場合です。
ご家族の死後に初めて遺言書を見つけた場合には、驚いて開封したくなるでしょう。
けれど開封は待って下さい。
封印のある遺言書は勝手に開封してはならず、違反者には過料の制裁があります(民法1005条)。
なお、過料には処せられますが、この場合にも遺言の効力に影響はありません。
検認とは
遺言書の検認手続きは、あまり一般には知られていないと思います。まだまだ遺言書を残す方が、少ないのが現状だからです。
検認手続きは、遺言書の隠匿・棄損を予防する制度です。
検認によって、自筆証書遺言が適法に作成されたものであるか、という遺言書の有効性を確定するものではありません。
しかし、検認の通知が相続人になされるので、相続人が遺言書があったことを知らないままに遺言が執行される事を防ぐことが出来ます。
自筆証書遺言書をのこすことを選択した場合には、ご家族に、ご自身の亡き後、家庭裁判所で検認手続をしてね、とお伝えしておく必要があります。
とはいえ、実際には家族が亡くなって、たくさんの手続を進めて行かなければならないなかで、家庭裁判所で遺言書の検認を行うのは、ご遺族にとっては負担が多いと思われます。
そこで、自筆証書遺言を選んだ場合でも次のような制度を利用することも考えられます。
自筆証書遺言書保管制度の利用を考える
自筆証書遺言は、法務局に申請することで適正に管理・保管することができます。これを「自筆証書遺言書保管制度」といいます。
この制度を利用することで、以下のメリットがあります。
- 遺言書の紛失、亡失のおそれを防ぐことができる
- 相続人などの利害関係者による遺言書の破棄、隠匿、改ざんなどを防ぐことができる
この場合、遺言保管所に遺言書を保管しているので、検認手続きは不要になります。検認手続を避けたい場合には、この制度の利用も考えてみる価値があると思われます。
自筆証書遺言書を選んだら
「どうしても自筆で遺言書をのこしたい」
と希望する場合には、遺されたご家族に検認手続をお願いするよう、予めお話しておくことをおすすめします。
もしくは、法務局の自筆証書遺言書保管制度の利用を、考えてみてくださいね。
当事務所では遺言書作成のサポートを行っております。
お気軽にお問い合わせください。
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